伝承之蔵

雲居和尚と万二・万三郎
仙台市/青葉区/茂庭/蕃山・下愛子/西風蕃山

   昔、 雲居 という和尚が、蕃山の庵に独りで暮らしていた。ある夜、 万二万三郎 という兄弟の盗賊が、 「雲居は、松島の瑞巌寺の住職をしたほどのヤツだ。たくさんの財宝を持っているに違いない」と思い、雲居和尚の庵を襲って、 和尚に刀を突きつけ、「おまえの持っている財宝を全部だせ!」と脅した。 しかし、雲居和尚は、二本の刀を突きつけられても冷静に、 「こんな山の中だ。財宝があるわけないだろう。百文にもならないが、これでも持っていけ 」と言って法衣を脱いで投げわたし、次のような歌を詠んだ。 先の世で  借りたる物を  今なすか  この世で借りて  先でなすのか ( 私は今、前世での過ちの罰を、受けているのであろうか。そして、お前たちは、今、私にした過ちの罰を、あの世で受けるのであろうか)。 万二と万三郎は法衣を奪って逃げたが、雲居和尚の気高い態度と、意味のわからない薄気味の悪い歌を忘れることができなかった。 そして数日後、再び雲居和尚の庵に来た万二と万三郎は、「弟子にしてください…」と頼んだという。

参考 『 仙台市史 6 』
現地で採集した情報


現地レポート

雲居和尚は七十八歳で亡くなり、蕃山の山頂に埋葬された。 和尚の遺言により、墓石は建てなかったという。その後、和尚のために、伊達綱村によって 常寂光塔 と称する堂が建てられた。 常寂光塔に行くには、何通りかのコースがあるが、今回は、大梅寺からのコースにした。写真は、そのコースの入口。


すぐに、道が険しくなった。すれちがった登山者に、「もう帰りたくなりました」と言ったところ、「険しいのは、ここだけですよ。がんばってくださいねぇ〜♪」という返事。 美しい女性の登山者だったので、「よ〜し、がんばるぞぉ♪」と思い直して出発。


険しいのは最初だけ!



険しいのは最初だけ…。



険しいのは…。



険し…。



悪魔のような女性でした…。



ぶつぶつ不満を言っているあいだに、山頂に到着。これが、常寂光塔。



常寂光塔の中に、雲居和尚と万二・万三郎の像があった。中央が、雲居和尚の像。向かって右が万二の像。向かって左が万三郎の像。


これが、雲居和尚の像。



これが、万二の像。



これが、万三郎の像。



これは、蕃山の山頂からの景色。



因みに、「百文とは、現在の価値にしてどのくらいなのだろうか?」と思ったので、『お江戸の意外な「モノ」の値段』を参考にして考えてみた。 屋台の蕎麦に関して、「明和・安永年間(一七六四〜八〇)以降は十六文に定着した」とあるので、 雲居和尚の生存した年代とは違うが、この記述をもとに一文の価値を計算してみた。現在、かけそばの値段は270円くらいである。 270円=十六文として計算すると、一文は、約17円。よって、百文は、約1700円となる。


平成 18 年 4 月 15 日 ( 土 ) 掲載
令和 4 年 1 月 13 日 ( 木 ) 改訂


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