伝承之蔵

狼石
仙台市/泉区/北中山

   昔、ある老人が、町に薪を売りに行く途中、一匹の狼が、魚の骨を喉につまらせて苦しんでいるのを見た。そのとき、その老人が、「 おい、狼! 魚の骨をとってやるだけだから、俺を襲うなよ! 」と叫んで、喉の骨をとってやると、狼は、感謝するような動きをしながら、森の中に姿を消していった。その夜、その老人の家の玄関で、ドスンという大きな音がしたので、老人が玄関から出てみると、大きな猪が置いてあった。すると、老人は、「 そうか、あの狼が、お礼に置いていったんだな。義理堅いやつめ 」と言って、ニコッと笑った。

   それからというもの、その狼は、老人が町に行くときには、必ず、老人の近くにいて護衛するようになり、老人も、狼の護衛に感謝し、昼食のときには、必ず、握り飯を与えるようになった。しかし、数年後、残念なことに、その老人が死んでしまうと、森の中から、悲しそうな遠吠えが聞こえたのを最後に、その狼は、二度と姿を見せなかったという。

参考 『 泉市誌 下巻 』
現地で採集した情報


現地レポート

これが、 狼石 への入口。



この階段を上る。



たくさんの碑がある。



説明文があるのが、狼石。



これが、説明文。



これが、狼石。この伝承の人物は、 庄之助 という者なのだが、この碑は、その庄之助の子孫の方が建てたもの。昔は、毎年、旧暦の四月一日に、赤飯の握り飯を供え、「 狼どん! 産立にきした! 」( 狼さん! 出産の祝いに来ました! )と叫んでから、近くの谷に握り飯を落とした。その叫び声で狼が集まってきて、その握り飯を食べたのだが、不思議なことに、決して人間を襲うことはなかったという。


これは、狼石からの風景。



平成 20 年 4 月 13 日 ( 日 ) 掲載
令和 5 年 7 月 18 日 ( 火 ) 改訂


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