伝承之蔵

小鶴の池
仙台市/宮城野区/原町苦竹

   昔、この里に、とても無慈悲な長者が住んでいた。この長者は、ある年の田植えの時期に、 小鶴 という働き者の女性を雇ったのだが、 この長者は小鶴を、朝から夜まで家畜のように働かせた。 ある日、小鶴が、自分の赤ん坊を背負ったまま苗を植える作業をしていたとき、あまりにも赤ん坊が泣くので乳を飲ませようとしたところ、 その日は、特に忙しかったため、長者は、小鶴が赤ん坊に乳を飲ませることを許さなかった。

   夕方になって苗を植える作業が終わり、小鶴が赤ん坊に乳を飲ませようとしたところ、すでに赤ん坊は死んでいた。 小鶴が、あまりの悲しみのため、死んだ赤ん坊を強く抱き、そのまま近くにあった池に身を投げて死んでしまったので、 いつしか、里人たちは、この池のことを、“ 小鶴の池 ”と呼ぶようになったという。

参考 『 仙台市史 6 』
現地で採集した情報


現地レポート

残念ながら、小鶴の池は現存していない。古老の話では、上の写真の畑のあたりにあったという。



この話に関しては、別の伝承もある。小鶴は、利府にある 春日神社 の前の小さな丘に赤ん坊を埋葬し、 ある坂の下にあった池を鏡にして最後の化粧をしてから、小鶴の池に身を投げて死んだというものである。 小鶴が最後に化粧をした坂は、“ 化粧坂 ”と呼ばれ、化粧をするために鏡にした池は、“ 鏡ノ池 ”と呼ばれていた。


これが、春日神社の鳥居。



これが、春日神社の拝殿。



これは、春日神社から見える丘。この丘のどこかに、小鶴の赤ん坊が埋葬されている。



これが、化粧坂。



化粧坂のあたりを探したのだが、池らしいものはなかった。もはや、鏡ノ池は現存していないであろう。



平成 18 年 6 月 24 日 ( 土 ) 掲載
令和 4 年 2 月 4 日 ( 金 ) 改訂


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