伝承之蔵

下男は、どこに消えたのか?
気仙沼市/本吉町津谷桜子

   昔、ある長者の 下男下女 たちが必死になって田植えをしていたとき、突然、激しい雷雨になったことがあった。その激しい雷の音に恐怖を感じた下男や下女たちは、近くにあった長者の屋敷に逃げ、屋敷の中でブルブルと震えていたのだが、ある下男が、「こんな雷が何だ!こんな雷、『への、への、へっへ』だ!」と叫んで田に残り、 テンテコ踊り を始めた。長者の屋敷に逃げた下男や下女たちは、この下男を心配して、「おい!危ないから逃げろ!早く逃げろ!」と叫んだのだが、その下男は、みんなの忠告を無視して笑いながら楽しそうに踊り続けた。すると、次の瞬間、目が潰れるような光と、ゴロゴロド〜ンという音とともに、田の中にあった大きな柳の木に雷が落ちて柳の木が真っ二つになり、モクモクと煙をあげながら、その柳の木は、激しい炎とともに燃え尽きてしまった。しばらくして、長者の屋敷に逃げていた下男や下女たちが周りを見わたしたところ、さっきまで笑いながら楽しそうに踊っていた下男の姿が、どこにもなかったので、そのことを知った里人たちは、「あの下男の態度に怒った神が、さらっていったに違いない」と噂したという。

参考 『 本吉町誌U 』
現地で採集した情報


現地レポート

どんな 旱魃 の年でも、この里にだけは雨が降って田が水で潤ったので、里人たちは、この伝承の柳のことを、“ 雨降り柳 ”と呼んでいたという。


この伝承の落雷があった田は、“ 宮田 ”と呼ばれていた。上の写真のあたりが、宮田。雨降り柳も、このあたりにあったという。


雨降り柳が落雷で燃えた後、里人たちは、その跡に御雷神様を祀ったのだが、その後、この御雷神様は、この伝承の長者の分家の屋敷に移された。上の写真の赤い矢印が、御雷神様。


これが、御雷神様。



平成 20 年 3 月 27 日 ( 木 ) 掲載
令和 6 年 7 月 13 日 ( 土 ) 改訂


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