伝承之蔵

おとわ滝
加美町/宮崎/寒風沢九番

   天和 年間、この里に、おとわという美しい娘が、父親と一緒に住んでいた。おとわの家は、たいへん貧しく、すでに母親が死んでしまっているという悲しさもあったが、親子二人で力を合わせて幸せに暮らしていた。ところが、ある日、おとわの父親が、番所で街道の警備をしていたとき、スパイの侵入を許すというミスをしてしまった。本来ならば、手打ちになるはずのミスだったのだが、おとわの父親の上司のはからいで、命だけは救われることになった。ところが、その後、その上司は、「 じつは、君に頼みがあるのだが… 」と言って、自分の娘を、おとわの父親の後妻にしてくれるように頼んできた。その上司の娘は、たいへん心が醜いことで有名だったのだが、おとわの父親は、命を助けてもらった恩があることから断ることができず、しぶしぶ、その上司の娘を後妻にすることにした。

   その後妻には娘がいたのだが、その後妻は、「 どうしても、自分の娘を後継ぎにしたい 」と思っていたため、先妻の娘であるおとわを徹底的に嫌い、父親が留守のときには、ひどくおとわを虐待した。そんなある日、奉行が、この里を巡視することになったため、おとわは、父親と一緒に番所の中の清掃をしていたのだが、そのとき、奉行にプレゼントするはずだった 切込焼 の皿を、おとわの不注意で割ってしまった。いつも、「 あの世に行きたい…。お母さんがいるところへ行きたい… 」と思っていたおとわは、「 奉行の手打ちになるくらいなら、いっそのこと… 」と考え、奉行が巡視する前日の真夜中、「 お母さ〜ん!いま行くからね!お父さ〜ん!ごめんなさい! 」と叫びながら、ある滝に飛び込んで死んでしまった。そのため、いつしか、里人たちは、この滝のことを、“ おとわ滝 ”と呼ぶようになったという。

参考 『 宮崎町史 』
現地で採集した情報


現地レポート

これが、おとわ滝。



こちらではなくて…。



こっち♪



平成 21 年 4 月 27 日 ( 月 ) 掲載
令和 6 年 1 月 15 日 ( 月 ) 改訂


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