伝承之蔵

機織り沼
加美町/宮崎/中野三番

   昔、この里にある 大森山 の西側の崖の下に、小さな沼があったのだが、どこからともなく足の不自由な娘と老いた父親が、この里にやってきて、その沼のほとりに住みはじめた。その娘は、たいへん真面目で機織が上手かったので、すぐに、この里の若者と恋に落ち、二人は、毎日のように愛の言葉を交わしていたのだが、しばらくすると、その若者は他の女性に心変わりしてしまった。すると、その娘は、「 私は障害者だし、よそ者だから… 」と、自分の立場を嘆き、たくさんの石を袂に入れて、家の近くの沼に飛び込んで死んでしまった。その後、夜になって沼の水面に月の姿が映ると、沼の底から機織の音と、その娘がシクシクと泣く声が聞こえてくるようになったので、いつしか、里人たちは、この沼のことを、“ 機織り沼 ”と呼ぶようになったという。

参考 『 宮崎町史 』
現地で採集した情報


現地レポート

これが、大森山。昔、上の写真の赤い矢印のあたりに崖があり、その下に機織り沼があったのだが、現在は、その崖が崩れたため、機織り沼は埋まってしまった。里人たちが、 沼平 と呼んでいる場所に、その沼があったと言われている。


現在は、杉で見えなくなってしまったが、上の写真の赤い矢印のあたりが沼平と呼ばれている場所。古老の話によると、「 昔は、よく歩いて行ったもんだが、今は誰も行かなくなったので、道がなくなってしまった。ここから歩いて15分ぐらいのところかな 」とのこと。


平成 21 年 6 月 10nbsp;日 ( 水 ) 掲載
令和 6 年 1 月 23 日 ( 火 ) 改訂


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