おじいさんの遺言 |
丸森町 |
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昔、この里に、重い病気のおじいさんが住んでいた。このおじいさんには、一郎 ・ 二郎 ・ 三郎という三人の子供がいたのだが、ある日、おじいさんは、この三人の子供に、「 俺は、もうすぐ病気で死ぬ。だが、一人で死ぬのは恐いので、俺が死んだら、孫の中の一人を、俺の墓に生き埋めにしてくれ 」と頼んだ。その場にいた三人の子供は、たいへん驚いたが、もうすぐ死んでしまう病人だったので、「 お父さん、わかりました。必ず生き埋めにします 」と快諾。これを聞いたおじいさんは、安心したのであろうか、その日の夜に死んでしまった。 おじいさんの葬式の後、三人の兄弟は、“ あのこと ”について話し合ったのだが、一郎と二郎は、「 あのときは、お父さんを安心させるために言ったのであって、本当に自分の子供を生き埋めにする気はない 」と言って、約束を破棄した。しかし、三郎だけは、「 約束は約束だ。お父さんが、どんなに寂しがっていることか 」と言って、次の日、自分の一人息子を連れて、おじいさんの墓に行き、おじいさんとの約束どおり、子供を生き埋めにするために、おじいさんの墓を掘り返した。ところが、墓を掘り返していたとき、鍬が、カチンと大きな石にあたったので、三郎が、その大きな石を動かしてみたところ、その石の下に、たくさんの宝物があった。さらに、その石の裏には、「 もごい孫、殺してじじが何にする、誠ある子に宝さずけん( かわいい孫を、私が殺して何になるというのか。誠意のある子供に、私の遺産を与えたかっただけだ )」と彫ってあった。 おじいさんが、「 自分の墓に、孫を生き埋めにするように 」などと言ったのは、他人に対して本当に誠意を尽くす人間に、宝物を与えようとしたからであった。おじいさんが残した財宝という宝物と、教訓という宝物を手に入れた三郎は泣いて喜び、生涯、その“ 宝物 ”で幸福に暮らしたという。
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