伝承之蔵

親は諸白、子は清水
丸森町/筆甫/古田

   昔、この里に、たいへん働き者の農夫が住んでいた。その農夫は、毎日、山に行って炭を焼いたり、薪を切ったりして、それを町に売りに行って生活をしていたのだが、その農夫は、たいへん酒が好きだったため、町から帰る途中、いつも、売り上げ金の多くを酒につかってしまった。すると、とうとう、我慢できなくなった農夫の息子が、「 おやじ! 頼むから、酒をやめてくれ! 生活ができないじゃないか! 」と叫んで、酒を禁止。その後、息子に厳しく監視されるようになった農夫は、酒を飲むことができず、寂しい日々を送ることになってしまった。そんなある日、町から帰る途中、その農夫は、ある優しい 山伏 に出会ったので、その山伏に、酒が飲みたいと相談してみたところ、農夫に同情した山伏が、酒が湧いている泉の場所を教えてくれた。喜んだ農夫は、毎日、その泉に行って酒を飲み、フラフラになって家に帰ったので、これを不審に思った息子が、農夫を尾行し、酒が湧いている泉の存在を知ったのだが、「 本当に酒が湧いているのかなぁ… 」と思い、湧いているものを飲んでみると、ただの水であった。農夫が飲むと酒となり、息子が飲むと水になるという、まことに不思議な泉だったので、いつしか、里人たちは、この泉のことを、“ 親は 諸白 、子は清水 ”と呼ぶようになったという。

参考 『 丸森町史 』
現地で採集した情報


現地レポート

残念なことに、この伝承の泉は現存していない。昭和三十三年の台風で、地形が変形するほどの土砂崩れがあり、埋まってしまった。上の写真は、この伝承の泉があった場所。現在は、田になっている。


因みに、この田の所有者の方の屋号は、“ 子は清水 ”である。この田の所有者の方の話によると、あまりにも多くの方が、「 子は清水があるのは、こちらですか? 」と訪ねてくるので、その方たちのために、近くにある 小牛田山神社 に、“ 新・子は清水 ”を作ったという。


赤丸が、新・子は清水がある小牛田山神社。



湧き水の伝承があるだけあって、さすがに、地面が 泥濘るんで いる。



これは、小牛田山神社の鳥居。



これは、小牛田山神社の本殿。



これが、新・子は清水。飲むことも可能。このあたりは、あちらこちらから水が湧いている。そういう地層なのであろう。この新・子は清水が枯れても、近くの湧き水を、“ 続・子は清水 ”とすれば、OKである。
ワーイワーイ  ♪ ~ ♪  d(⌒o⌒)b  ♪ ~ ♪  ルンルンルン



平成 21 年 8 月 2 日 ( 日 ) 掲載
令和 5 年 8 月 29 日 ( 火 ) 改訂


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