伝承之蔵

阿武隈川の玉殿 1
丸森町/大舘

   昔、この里の、ある若者が、 阿武隈川 のほとりで草刈りをしていたとき、ついつい藤の花に見とれていると、鎌を水中に落としてしまった。 その若者が川の中を覗いてみると、ある大きな石の下に鎌があったので、鎌を取ろうと川に飛び込んだのだが、なぜか、その若者は二度と水面にあがってくることはなかった。 ところが不思議なことに、その数百年後、その若者の子孫の屋敷に、ある老人が訪れ、「 今から数百年前、私は、阿武隈川に落とした鎌を拾うために、川に飛び込んだ。ところが、そのとき、近くにあった大きな石の横に、細い道があったので、その道を進んでみると、その道は立派な 玉殿 に通じていて、その玉殿で、乙姫のような美女たちと夢のような生活をしていた 」と話したという。

参考 『 丸森町史 』
現地で採集した情報


現地レポート

上の写真は、阿武隈川にかかっている丸森橋。この伝承の大きな石は、“ 姥石 = おばいし ”と呼ばれている。赤丸がそれ。因みに、姥石は、通常、“ 姥石 = うばいし ”と読まれ、母と子の別れの伝説や、女人禁制の境にある石の伝説などに用いられることが多い。


これが、姥石。もともとは、大姥石と小姥石の二つがあったのだが、昭和四年、丸森橋の架設工事の時、橋脚の基礎に利用するために破壊されてしまった。大姥石は、十数メートルの高さがあったという。


平成 21 年 8 月 2 日 ( 日 ) 掲載
令和 5 年 9 月 1 日 ( 金 ) 改訂


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