伝承之蔵

阿武隈川の玉殿 2
丸森町/大舘

   昔、この里の、ある若者が、 阿武隈川 のほとりに咲いていた美しい藤の花に気をとられ、持っていた斧を川に落としてしまった。 その若者は、すぐに川に飛び込んで斧を探したのだが、どうしても発見することができず、ウロウロしていると、突然、ある大きな石の奥に、どんどん吸い込まれていった。 すると不思議なことに、そこには立派な 玉殿 があり、その若者は、そこに住んでいる美しい女性たちと、毎日、楽しく生活するようになったのだが、ある日、その若者が、「 家族が心配しているだろうから、そろそろ、家に帰らなくては… 」と思って家に帰ったところ、自分の屋敷があった場所は草むらになっていて、知っている里人が一人もいなくなっていた。ただ、そこには、「 六十年ほど前、斧を拾うために川に飛び込んだ若者が、そのまま溺れて死んでしまった 」という噂だけが残っていたという。

参考 『 丸森町史 』
現地で採集した情報


現地レポート

上の写真は、阿武隈川にかかっている丸森橋。この伝承の大きな石は、“ 姥石 = おばいし ”と呼ばれている。赤丸がそれ。因みに、姥石は、通常、“ 姥石 = うばいし ”と読まれ、母と子の別れの伝説や、女人禁制の境にある石の伝説などに用いられることが多い。


これが、姥石。もともとは、大姥石と小姥石の二つがあったのだが、昭和四年、丸森橋の架設工事の時、橋脚の基礎に利用するために破壊されてしまった。大姥石は、十数メートルの高さがあったという。


平成 21 年 9 月 30 日 ( 水 ) 掲載
令和 5 年 9 月 1 日 ( 金 ) 改訂


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