一粒の豆と地蔵様 |
松島町/幡谷 |
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昔、この里に、心の優しい爺さんが住んでいたのだが、ある日、その爺さんが庭の掃除をしていると、一粒の豆が転がってきて、鼠が掘った穴に入ってしまったので、爺さんが、「 おいしそうな豆だったなぁ…。もったいない… 」と言って、豆を拾うために、その穴の中に入って行くと、地蔵様が祀ってあるのを発見した。そこで、爺さんが、その地蔵様に、 「このあたりに、豆が転がってきませんでしたか? 」と聞いたところ、地蔵様が、「 すまん…。食べてしまった… 」と答えたので、爺さんは、たいへん落胆したのだが、地蔵様が、「 お詫びに良いことを教えてやろう。今、この穴の奥で、鬼たちが、たくさんの黄金を積んで賭博をしている。そこまで行って、しばらく待ってから、鶏の鳴き声を真似してみろ。そうすれば、その黄金は、おまえのものになるぞ 」と教えてくれたので、元気をとりもどした爺さんが、地蔵様に教えられたとおりにしてみると、鬼たちは、「 しまった!もう、朝か!黄金は、このままにして帰るぞ! 」と叫び、どこへともなく姿を消してしまった。その後、爺さんは、鬼が置いていった黄金を、すべて持ち帰り、この里の長者になったので、なんの不自由もなく幸せに暮らすことができるようになった。 すると、この話を聞いた、心の醜い爺さんが、「 よ〜し、おれも長者になってやる! 」と言って、鼠が掘った穴に、自分で豆を転がしてから入って行き、そこに祀られていた地蔵様に、「 ねぇ、このあたりに、豆が転がってこなかった? 」と聞いたところ、地蔵様が、「 すまん…。食べてしまった… 」と答えたので、その心の醜い爺さんが、落胆したふりをすると、地蔵様が、前と同じように、「 お詫びに良いことを教えてやろう。今、この穴の奥で… 」と教えようとしたのだが、その心の醜い爺さんは、地蔵様の話を最後まで聞かずに、「 あっ、そう。わかった、わかった。バイバイ 」と言って、穴の奥まで行くと、すぐに、鶏の鳴き声を真似した。すると、ある鬼が、「 おかしいぞ…。まだ夜が明けるのは早い。ん?人間の臭いがする!近くに人間がいるぞ! 」と叫ぶと、近くに隠れていた心の醜い爺さんを捕まえ、そのまま八つ裂きにして食べてしまったという。
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