伝承之蔵

砂まみれの小豆餅
松島町/北小泉

   昔、この里に住んでいた老夫婦が、拾った苗から収穫した米を、“ もち ”と呼ぶか、“ うるう ”と呼ぶかで喧嘩をしていたとき、偶然、この里に滞在していた僧が、この老夫婦に、「 それは、“ もち ”と呼ぶのが正しい 」と教えてあげたことがあった。ところが、その後、その僧が、ある事件の濡れ衣を着せられて、打ち首にされることになったため、その老夫婦が、「 打ち首になる前に、お世話になった僧に、小豆餅を食べさせてあげよう 」と思い、その僧が、打ち首になる刑場に向かっている途中、その僧に小豆餅を渡そうとしたところ、誤って盆から小豆餅を落としてしまい、その小豆餅が砂まみれになってしまった。すると、それを見た僧が、「 小豆餅は砂まみれのままで良いから、二人とも、この場で待っていなさい 」と言ったので、その老夫婦は、「 これから打ち首になるのに、『 この場で待っていなさい 』とは、どういうことなんだろうか? 」と、不思議に思いながらも待っていたところ、しばらくして、その僧が、ひょっこり帰ってきて、「 待たせたな、それでは、小豆餅をいただこうか 」と言って、小豆餅を食べようとしたので、その老夫婦が、「 こんな砂まみれの小豆餅を食べさせるわけには… 」と思いながら、ふと、小豆餅を見てみると、いつの間にか、美味しそうな胡麻餅になっていたという。

参考 『 松島町誌 』
現地で採集した情報