伝承之蔵

エビスとキビス
松島町/北小泉

   ある日、里人たちが、「 エビスとキビスでは、どこが違うのか? われわれは、どちらを拝めば良いのか? 」という問題で口論をしていたことがあった。そのとき、偶然、ある僧が通りかかり、里人たちに、「 絵に描いたのが“ エ ”ビス。木に彫ったのが“ キ ”ビスだ。だから、どっちを拝んでも良い。あまり、つまらないことで喧嘩をするな 」と叱ったという。

参考 『 松島町誌 』
現地で採集した情報


現地レポート

この伝承のエビスが七福神の恵比寿であることは分かるのだが、キビスが何なのかが分からない。コトバンクで調べてみたところ、踵( =きびす・かかと )という漢字で、「 1.足の裏の後部。2.ずうずうしいこと。あつかましいこと 」という意味のものはあったのだが、この伝承では、エビスとキビスは拝むものなので、明らかに踵ではない。いくら調べても分からないのでイライラしていたところ、ふと、「 ん?今の自分は、この伝承の里人たちと同じではないか 」と思った。この伝承の僧だったら、こう言うであろう。「 エビスとキビスは、拝むべき尊いものらしいから、それでいいじゃないか。拝んでいればいいんだ。いつまでも、つまらないことを調べるな 」と。


平成 19 年 11 月 13 日 ( 火 ) 掲載
令和 5 年 11 月 3 日 ( 金 ) 改訂