伝承之蔵

血の池
南三陸町/入谷/たら葉沢

   昔、ある男が、 払川 に住んでいる友人の屋敷で蕎麦を食べさせてもらったのだが、その友人の屋敷から帰る途中、突然、目の前に見知らぬ男が現われ、「 どこで…、何をしてきた… 」と聞いたので、「 払川の友人の屋敷で蕎麦を食べてきた 」と答えると、その見知らぬ男は、さらに、「 蕎麦を食べた後…、 膳の湯 を飲んだか?それとも、水を飲んだか? 」と聞いてきたので、「 水を飲んだ 」と答えた。すると、その見知らぬ男はニヤッと笑い、「 蕎麦を食べて水を飲むと…、腹がふくれて死ぬんだぞ…。どうせ死ぬなら… 」と言ったかと思うと、その男の腹を刀で裂いて蕎麦を取りだし、近くにあった池で蕎麦を洗って食べた。そのとき、その池の水が、その男の血で真っ赤に染まったので、いつしか、里人たちは、この池のことを、“ 血の池 ”と呼ぶようになったという。

参考 『 生活の歓 志津川町誌U 』
現地で採集した情報


現地レポート

約20年前、この里の古老に話を聞いたところ、「 とっくに、血の池の水は涸れてるよ。その跡が残っていたかなぁ…。あったような…、なかったような… 」とのことであった。その2年後、別の古老に話を聞いたところ、血の池まで案内してくれた。上の写真が、血の池。


ところが、最近、再び調べてみたところ、最初の古老の証言が正しいことが分かった。上の写真は、 坂の貝峠 。赤い矢印が、血の池の看板。


やはり、血の池は現存していなかった。この看板が朽ちた時、この伝承も消えていくのであろう。



平成 17 年 11 月 10 日 ( 木 ) 掲載
令和 6 年 2 月 9 日 ( 金 ) 改訂


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