トウゴンボウの稲荷大明神 |
大河原町/大谷/上谷前 |
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昔、この里に、 平作 という者が住んでいた。ある日、平作は、祭の準備のため、渡し船を利用して、豆腐や油揚げなどを買いに隣の町に行ったのだが、久しぶりの町に心がウキウキしてしまい、そそくさと買い物を済ませると、茶屋で好物の酒を飲み始めた。一杯が二杯となり、二杯が三杯となって、ふと気づくと、あたりはすっかり暗くなってしまい、すでに、渡し船の最終便は出た後であった。そこで、平作は、しかたなく、町で買った物を頭の上に乗せて、浅瀬を渡って家に帰ることにした。 平作が、 「 あぁ … 、遅くなってしまった。嫁さん怒ってるだろうな … 」 と思いながら、急ぎ足で家に向かっていると、 トウゴンボウ のあたりで、 「 ドンチキドンドン、ドンチキドンドン、踊れや踊れ、歌えや歌え 」 という祭りばやしが聞こえてきた。そして、 庵の入 まで来ると、突然、目の前に男が現われ、 「 さぁ 〜 さ、こちらへ。今日は、めでたい日ですから、豪華な料理でも食べていってください 」 と言って、平作を、立派な屋敷に連れて行った。 平作が通された座敷には、見事な掛軸や屏風などが飾られており、出された膳には、今まで見たこともないような豪華な料理が並べてあった。 「 おぉ、こんな料理を食べられるなんて ! 」 と喜んだ平作は、浴びるように酒を飲みながら、その豪華な料理を腹いっぱい食べたのだが、腹いっぱい食べた後、なぜか急に眠くなり、そのまま、ぐっすりと眠りこんでしまった。 翌朝、目が覚めると、平作は、トウゴンボウの林の中で、枯れ木を枕にし、集めた木の葉を布団のようにして寝ていることに気づいた。平作が、 「 しまった ! やられた ! 」 と叫んで、あたりを見まわすと、町で買った豆腐や油揚げなどが、すべてなくなっていた。その後、多くの里人が平作と同じような被害にあったのだが、不思議なことに、その被害者は、すべて男であった。 そこで、里の嫁たちが、長老に相談したところ、 「 きっと、狐に騙されたのであろう。トウゴンボウに稲荷大明神を祀って御供え物をしてみてはどうか 」 という答えだったので、里人たちは、全員で力をあわせて、立派な稲荷大明神を建立した。その御利益なのか、その後、狐に騙されることはなくなったという。
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現地レポート |
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これが、宝泉寺の山門と本堂。
![]() 上の写真は、宝泉寺の駐車場からの風景。赤い矢印の手前あたりがトウゴンボウ。
平成 25 年 12 月 8 日 ( 水 ) 掲載
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