伝承之蔵

阿弥陀堂の大蛇
大郷町/山崎

   昔、この里にある阿弥陀堂の境内に大きな杉の木があり、その杉には大蛇が棲んでいた。杉の近くにある屋敷には、たいへん美しい娘が住んでいて、その娘が杉の木の下を何度も歩いて通っていたため、いつしか、大蛇は、その娘のことを愛してしまった。ある夜、大蛇が、立派な若者に化けて娘の屋敷を訪ねたところ、娘の方も、この若者を愛するようになり、若者が屋敷に通ってくるのを胸を熱くして待ちわびるようになってしまった。

   その後、だんだん娘の御腹が大きくなってきたことに気がついた母親が、 「 あれは、どこの若者なのかしら … 」 と思い、ある日、若者の着物の裾に糸を長くした針を縫いつけて、若者が帰るのを待った。若者が帰ってから、裾に縫いつけた糸をたどっていくと、その糸が阿弥陀堂まで伸びていたので、母親が、 「 こんなところに住んでいるのかしら ? 」 と呟くと、杉の木の上から大蛇が母親に、 「 お前の娘を 孕ませた のは俺だ。でも、もうだめだ … 。体に針が刺さり、毒が回って動くことができない … 。娘を 菖蒲湯 に入れれば、体は元通りになる … 。悪いことをしてしまったな … 」 と、苦しそうに謝る声が聞こえてきた。驚き恐れた母親は一目散に屋敷に帰り、すぐに娘を菖蒲湯に入れたところ、娘の体から五 〜 六匹の小さな蛇が現われ、湯と共に流れていったという。

参考 『 おおさと 昔かだり 』
現地で採集した情報


現地レポート

この伝説の大蛇の正体が分かった日は端午で、その大蛇は、その日のうちに死んでしまったという。



これが、阿弥陀堂。残念なことに、この伝説の杉は、五十年ほど前の落雷によって焼けてしまった。



しかし、焼けた杉の一部が、里人たちによって保存されていた。赤い矢印がそれ。



これが、大蛇が棲んでいたという杉。かなり大きな杉だったのであろう。



外側は普通であるが、内側は焼けて黒くなっている。古老の話によると、 「 落雷によって杉の中に空洞ができ、杉が内側から燃えていた 」 とのこと。


阿弥陀堂の内部を撮影しようとしたのだが … 。



ん 〜 、上手く撮れない … 。



ん ?



鍵が壊れてる … 。



ちょっと失礼しますよ。



これが、阿弥陀堂の内部。



失礼しました。



平成 27 年 11 月 17 日 ( 火 ) 掲載


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