伝承之蔵

めっこ沼
大郷町/中村

   昔、この里に、ある大きな沼があり、ある戦いに敗れて逃れてきた武士たちが、その沼の近くに住んでいた。その武士たちの中に、 茂右衛門 という弓の名人がいたのだが、ある日、茂右衛門が沼に来て、鏡のように静まり返っている沼の水面を見ていると、大きな二匹の鮒が並んで泳いでいた。茂右衛門が、 「 おっ ! これは良い獲物だ ! 」 と叫んで、糸を結わえた矢を射た後、糸を引いてみると、その矢は、80センチほどの鮒の目を射ぬいていた。

   その夜、茂右衛門は、その鮒に舌鼓を打ちながら、独りで酒を飲んでいたのだが、いつの間にか、ウトウトと寝てしまった。すると、夢の中に大きな雌の鮒が現われ、恨みに満ちた目で、 「 今まで、私たち夫婦は、あの沼で幸せに暮らしていたのに、もう、私には生きる望みがなくなってしまいました。今日、あなたが、私の夫を弓矢で殺してしまったからです … 」 と言って消えた。

   夢から覚めた茂右衛門は、 「 俺は、なんてことをしてしまったんだ … 」 と後悔し、翌朝、まるで病人のようにフラフラしながら沼まで来てみると、夢に出てきた雌の鮒が、片目を潰された状態で、血を流しながら死んでいた。その数時間後、里人たちが沼に来てみると、片目を刺されて死んでいる茂右衛門を発見。その手には、片目の雌の鮒の死骸が抱えられていた。いつしか、里人たちは、目を射ぬかれた鮒が棲んでいた、この沼のことを、 “ めっこ沼 ” と呼ぶようになったという。

参考 『 おおさと 昔かだり 』
現地で採集した情報


現地レポート

上の写真は、 神明社 。おおさと 昔かだりに、 「 中村の神明社の裏手の谷あいに “ めっこ沼 ” という沼がある 」 とあったので、神明社に住んでいる古老に、めっこ沼の場所を聞いてみたところ、 「 ん 〜 、最後に行ったのは10年ぐらい前だからなぁ … 。現在、あるのかどうかも分かりません。確か … 、畑の中を通って行ったなぁ … 。今も沼まで行けるのかなぁ … 」 とのことであった。う 〜 ん、なかなか険しい場所のようだ。


ブ 〜 ン ! 古老の証言に従って行ってみると、すごい急な上り坂であった。 ウェブサイト 「 NAVER 」 より画像を引用させていただきました。


畑があった。古老の証言の通りだ ! 興奮するぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ 〜 ! 段々畑だったのか。この畑の中を通って下まで行くと … 。


ここだ ! 残念ながら、めっこ沼は現存していなかった。写真だけ撮って終了。



ブ 〜 ン ! 古老に御礼を言う為に神明社へ。すごい急な下り坂であった。



神明社で古老にデジカメの写真を見せたところ、「 違います。ここではありません ! どこですか ? ここ ? 」 とキッパリ。どうも、地理を立体的に捉えることが苦手な古老のようである。めっこ沼の場所を必死に教えてくれるのだが、私には全く伝わらなかった。最終的に、 「 ん 〜 、何て説明したらいいのか … 。だいたいのことを話しますので、行った先で誰かに聞いてみてください 」 とのことだったので … 。


不安になった私が、いろいろ細かい質問をして、やっと簡易的な地図が完成した。無いより良いか … 。



ブ 〜 ン ! 少しイライラした。



予定どおり迷ったので、畑仕事をしていた古老に聞いてみたところ、めっこ沼の正確な場所を教えてくれた。ブ 〜 ン ! さすが地元 !


畑の中を通って … 。



おっ ! 見えてきた。



これが、めっこ沼。昔は、周囲に怪しげな形をした古い樹木が茂っていて、昼間でも不気味だったらしい。おおさと 昔かだりによると、茂右衛門の目を刺したのが、茂右衛門自身なのか、それとも、他の者なのか、誰にも分からなかったという。


昔は不気味な場所だったようだが、現在は、そのような場所ではないので少し散歩してみた。ん 〜 、なかなか良い感じだ。


ん ?



えぇぇ ? 別の沼がある ! どっちが、めっこ沼なんだ ? ん 〜 、困った … 。どっちだ … 。



ブ 〜 ン ! カリカリしてきた。急いで引き返し、再び畑仕事をしていた古老に聞いてみたところ、 「 沼に向かって左側の大きい方が、めっこ沼だ 」 と教えてくれた。


ブ 〜 ン ! さすが古老 ! 詳しい !



現場に到着。向かって左側の … 。



え ? 左側の大きい方 … 。



どっちなんだよ ! ウェブサイト 「 GATAG 」 より画像を引用させていただきました。


ブ 〜 ン ! かなりカリカリしてきた。畑仕事をしている古老に再び聞いてみたのだが、どうも自信がないようだったので、さらに、近くに住んでいる数人の古老に聞いたところ、向かって左側の沼で間違いないことが確認できた。



ブ 〜 ン ! もう … 、どうでもよくなってきた … 。



ふぅぅ … 。これが、めっこ沼。



ブ 〜 ン ♪ 少し頭を冷やして、神明社と畑仕事をしていた古老に、 「 見つかりました。ありがとうございました 」 と御礼を言ったところ、二人とも笑顔で、 「 そう、良かったね。お疲れさん 」 と言ってくれた。


少しイライラしていた自分を反省しつつ、次の伝説の地に向かう暮露暮露であった。 ウェブサイト 「 いらすとや 」 より画像を引用させていただきました。


平成 27 年 11 月 20 日 ( 金 ) 掲載


地図