伝承之蔵

松笠地蔵
大郷町/粕川/熊野脇

   昔、この里に、ある地蔵があり、この地蔵の前の広場では、いつも多くの子供たちが元気に遊んでいた。ある日、子供たちが相撲をとって遊んでいると、突然、河童の子供が来て、 「 僕も仲間に入れて ♪ 」 と子供たちに頼んだ。子供たちは、 「 うん、良いよ。一緒に遊ぼう ♪ 」 と言って、河童と一緒に楽しく遊び始めたのだが、ふと、楽しそうに遊んでいる自分たちを見ながら、地蔵の裏に隠れている一人の子供がいることに気づいた。子供たちが、 「 どうして、泣いてるの ? 一緒に遊ぼうよ 」 と言うと、その子供は、 「 ありがとう … 。でも、 ミズイボ が体中に出ていて、みんなに感染させちゃうから一緒に遊べないんだ … 」 と答えて、ポロポロと涙を流して泣きだした。すると、突然、河童の子供が、その子供に近づいていき、何かヒソヒソ話をした後、そのまま誰にも何も言わずに走り去ってしまった。

   翌日の早朝、そのミズイボの子供が、誰もいない広場で、歳の数だけ地蔵に 松笠 を御供えし、地蔵を縄でギュウギュウと縛りながら、 「 お地蔵様、お地蔵様。僕のミズイボを治してください。もし、治してくれたら、縄を解いて体の泥も洗ってあげますから 」 と、必死に祈願した。すると不思議なことに、翌朝、体中にあったミズイボが、嘘のように消えていた。喜んだ子供は、すぐに地蔵のところに行って、何度も何度も御礼を言いながら、 「 お地蔵様 ! 本当にありがとうございました。私は、河童に教えてもらった通りにしました。これからは決して悪戯はしませんので、どうか許してください 」 と、お詫びを言いながら縄を解き、丁寧に地蔵の体の泥を洗い流した。そのため、いつしか、里人たちは、この地蔵のことを、 “ 松笠地蔵 ” と呼ぶようになったという。

参考 『 おおさと 昔かだり 』
現地で採集した情報


現地レポート

おおさと 昔かだりには、 「 後沢田に、 “ 松笠地蔵 ” という石の地蔵さまが建っていた 」 とあるが、現在の住所は 熊野脇 である。因みに、後沢田は地図などには、 “ うしろさわだ ” と記載されているが、里人たちは、 “ うっしょさだ ” と呼んでいる。


里人たちは、 “ 子供地蔵 ” と呼んでいるようである。因みに、おおさと 昔かだりによると、 “ ミズイボ神様 ” とも呼ばれているとある。


この伝説の河童は後谷地に棲んでいた河童なのだが、残念なことに、その後は、一度も姿を現わさなかったという。因みに、後谷地は地図などには、 “ うしろやち ” と記載されているが、里人たちは、 “ うっしょやず ” と呼んでいる。


これが、松笠地蔵。



平成 28 年 10 月 23 日 ( 日 ) 掲載


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