伝承之蔵

圓城寺の和尚と伊達政宗
利府町/利府/大町

   元和 二年、激しい雨が降る秋の夕方、 伊達政宗 は、鷹狩りから帰る途中、休息のため、 圓城寺 に立ち寄った。和尚が、恐縮して政宗を迎えると、突然、政宗は和尚に、「 和尚! あなたには両目があるが、私には片目しかない! 」と問いかけた。すると、和尚は、「 空には無数の星があります。しかし、たった一つしかない月の輝きの方が、無数の星の輝きに勝っています 」と答えた。この答えを聞いた政宗は、たいへん満足し、和尚に酒肴を与えたのだが、その中に、鴨の焼き鳥があったので、和尚が、「 私は、肉を食べることができません 」と断ったところ、政宗が、「 今日のみ、あなたの肉食を許します 」と言ったので、和尚は、恐縮しながら鴨の焼き鳥を食べた。政宗が、「 和尚、鴨の焼き鳥はどうですか? 」と問いかけると、和尚は、「 鴨が、つぎつぎと羽音をたてて、私の腹に飛んでいきました 」と答えた。政宗は、「 妙妙 」と言って、和尚の機知を賞賛したという。

参考 『 利府町誌 』
現地で採集した情報


現地レポート

これが、圓城寺の入口。



これが、圓城寺の本堂。



ある日、政宗が、「 和尚、何か望みはないか? 」と聞いたところ、和尚は、「 別に、望みはありません。ただ食べていければ、それでけっこうです 」と答えたという。この伝承の問答のみが、政宗の心を満たしたとは思えない。和尚の欲の無い心こそ、政宗に賞賛されたのであろう。圓城寺は、 監物 の取り次ぎで、寺領三貫十四文を与えられた。その後も、政宗は、鷹狩りのときには、この寺に立ち寄ったという。因みに、寺領三貫十四文とは、租税となる米の収獲高を、お金に換算したもの。つまり、「 年間に、三貫十四文で買える米が収穫できるほどの土地 」ということである。


平成 18 年 3 月 18 日 ( 土 ) 掲載
令和 5 年 8 月 9 日 ( 水 ) 改訂


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