伝承之蔵

花淵善兵衛と大蛇 1
七ヶ浜町

   昔、この里に、 花淵善兵衛 という者が住んでいたのだが、ある夜、善兵衛が散歩をしていると、一匹の大蛇が苦しそうにしているのを発見した。善兵衛が、その大蛇をよく見てみると、口をひらいて舌を出しながら、よだれをたらしている。不思議に思った善兵衛が大蛇の口の中を見てみると、骨が刺さっているのが見えたので、「ちょっと待っていろよ。今、とってやるからな」と言って、その骨をとってやると、大蛇は感謝し、善兵衛に二度も三度も御礼をしながら姿を消した。すると、翌日の夜、善兵衛の家に、花のように美しい女性が訪ねてきて、「私は、先日、あなたに助けていただいた大蛇です。御礼に、これをどうぞ」と言って、善兵衛に御札をわたした。その御札には不思議な力があり、その御札をもっていると、けっして蛇が近づいてこなかったという。

参考 『 七ヶ浜町誌 』
現地で採集した情報


現地レポート

花淵家では、“ 避蛇神符 ”というものを売っていたらしい。この御札をもっていると、蛇が恐れて近づかないと信じられていた。ある日、蛇にかまれて苦しんでいる者が花淵家に助けを求めた時、花淵家の者が避蛇神符を与えたところ、すぐに治り、元気に帰っていったという。また、蛇が から入りこんで苦しんでいる女性が花淵家に助けを求めた時は、その女性が花淵家の門をくぐっただけで、蛇が陰より出ていったので、里人たちは、「この霊験は、神の意思だ」と言って、驚き恐れた。


平成 18 年 5 月 4 日 ( 木 ) 掲載
令和 5 年 10 月 22 日 ( 日 ) 改訂