洞窟の怪物 |
色麻町/王城寺/山下一番 |
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天文 年間、 出羽 に 今野文五郎 という武士がいたのだが、ある理由で一家が離散し、妻と二人で 宮城郡 の 国分 に行くことになった。ところが、国分に行く途中で道に迷って日が暮れてしまったので、そのまま、この里で野宿していたところ、夜中に目を覚ました文五郎は、そばにいたはずの妻がいなくなっていることに気づいた。あちらこちら捜しまわった末、文五郎は、ある洞窟の中で鮮血に染まって死んでいる妻を発見したのだが、その次の瞬間、洞窟の中が大きく震動したかと思うと、赤面で両目が輝いた、まるで鬼猿のような怪物が飛んできて、文五郎を飲みこもうとした。「 もうだめだ…。死ぬ… 」と、文五郎が死を覚悟したところ、突然、一頭の大きな熊が現れて、その怪物を一撃で殺すと、そのまま、その熊は姿を消してしまった。文五郎は、「 日々、 紀州 の熊野権現を信仰し、守り札を肌身はなさず持っていたから助かったんだ… 」と思い、この里に熊野神社を建てて、神の御利益に感謝したという。
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