伝承之蔵

殿原小路の白井安右衛門 2
山元町/坂元/舘下

   昔、この里にある 殿原小路 に、 白井安右衛門 という武士が住んでいた。安右衛門は、殿様の寵愛をうけていたので、それを妬む家来たちも多かったのだが、その家来たちが、ある茶屋の老女と共謀し、安右衛門を殺害する計画をたてた。ある日、安右衛門が、その茶屋で酒を飲んで泥酔し、そのまま布団で眠ってしまったとき、その茶屋の老女の知らせで、その家来たちが茶屋に急行し、布団の上から安右衛門の心臓に刀を突き刺した。ところが、酔っていた安右衛門は、偶然にも北枕で眠っていたので、片足に傷を負ったのみで目を覚まし、その家来たちを見た瞬間、あっという間に、返り討ちにしたという。

参考 『 山元町誌 第二巻 』
現地で採集した情報


現地レポート

白井安右衛門が襲われた茶屋は、現存していない。山元町誌 第二巻によると、坂元の駐在所の裏にある水田あたりにあったとのことだが、現在は、その水田もなくなっている。安右衛門は、この茶屋の常連であったにもかかわらず、老女に裏切られて、殺害されそうになってしまった。この事件は、すぐに殿様の耳に入ったのだが、大きく城下を騒がせたにもかかわらず、安右衛門は無罪。この時、殿様は、「 安右衛門は、いざ鎌倉という時には、いなくてはならないやつよ 」と言って笑い、里人たちも、特に不満を漏らすことはなかった。安右衛門は、殿様だけではなく、多くの里人からも寵愛されていたようである。


平成 18 年 1 月 11 日 ( 水 ) 掲載
令和 5 年 9 月 10 日 ( 日 ) 改訂


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