伝承之蔵

平筒沼の大蛇
登米市/米山町/桜岡貝待井

   昔、二人の 行商 の女性が、 平筒沼 のほとりで休憩をしていると、沼の岸辺に、たくさんの魚が集まっていたので、「お昼になったから、お腹がすいたなぁ〜」と思った二人が、その魚を焼いて食べたところ、たいへん美味しかった。このとき、のどが渇いた一人の女性が沼の水を飲んだところ、たいへん美味しい水だったので、その女性は、沼の水をガブガブと飲みはじめたのだが、そのうち、腰まで沼の中に入ってガブガブと水を飲むようになり、さらには、胸まで沼の中に入ってガブガブと水を飲むようになった。そして、だんだん腹がふくれてきた女性は、何かに体を引っ張られて、沼からあがることができなくなってしまったので、その女性は、「私は、このまま沼の主になってしまうのかもしれない!このことを、私の家族に伝えてください!」と、もう一人の女性に叫ぶと、ズブズブと沼の底に沈んでしまった。

   この話を聞いて驚いた夫と子供が、すぐに、妻が可愛がっていた馬とともに平筒沼にきて、夫が妻の名前を呼ぶと、沼の底から妻が浮いてきた。腹から下が蛇の体、頭も恐ろしい形に変形していた妻が、「私は、もう二度と家族に会うことができない姿になってしまいました。これからは、この沼の主となって生きていきます。子供の将来は、必ず、私が守りますから、そこの森に置いていってください。馬は、私がもらいます」と言うと、まず、馬がズブズブと沼の底に沈んでいき、その後、悲しそうな表情をしたまま妻もズブズブと沼の底に沈んでいった。そして、どこからともなく、「私の霊魂は、この沼にある小島に弁才天として祀ってください」という妻の声がしたという。

参考 『 豊里町史 下巻 』
現地で採集した情報


現地レポート

上の写真は、平筒沼。



これは、平筒沼にある小島。



これは、弁財天の鳥居。



これが、弁財天。



平成 17 年 7 月 31 日 ( 日 ) 掲載
令和 8 年 2 月 27 日 ( 金 ) 改訂


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