伝承之蔵

木ノ下長者の財宝
南三陸町/入谷/林際

   昔、この里に、木ノ下長者という長者が住んでいたのだが、その長者が没落して数年が経ったころ、この里で、「 朝日さし、夕日輝く木の下に、漆万杯、黄金億々 」という黄金伝説がささやかれるようになり、やがて、里人たちは、「 木ノ下長者の屋敷跡に、財宝が隠されているのではないか? 」と噂するようになった。そこで、ある日、里人たちが、木ノ下長者の屋敷跡の周辺を掘ってみたのだが、たくさんの 金糞 が埋まっていただけで、財宝が発見されることはなかったという。

参考 『 生活の歓 志津川町誌U 』
現地で採集した情報


現地レポート

これが、木ノ下長者の屋敷跡。金糞が出たというのが事実であれば、昔、この場所で鉄の精製がおこなわれていたということになる。もしかしたら、木ノ下長者は鉄の精製集団だったのかもしれない。鉄を精製するには、多くの木材を必要とするので、周辺の山々の樹木を徹底的に伐採しなければならない。そして、伐採する樹木がなくなると、彼らは、次の土地へ移動した。そのため、里人たちからみると、突然、姿を消したようにみえるのである。余談ではあるが、樹木が伐採されて荒れ果てた山々は、たとえ植林をしなくても、およそ三十年で豊かな山々に復元されるので、そのことを知っていた彼らは、三十年という周期で自然を守りながら行動していた。


平成 17 年 11 月 9 日 ( 水 ) 掲載
令和 6 年 2 月 9 日 ( 金 ) 改訂


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