昔、ある長者の娘が、友達と楽しく遊んでいたこともあり、深夜に帰ることになってしまったことがあった。その娘が、深夜の帰り道、歌を歌いながら歩いていると、どこからともなく一人の男が現われて、娘が歌っている歌を、たいそう真剣に聴いていた。気味が悪くなった娘は、足早に屋敷に帰り、その話を婆さんにしたところ、婆さんは、「 今度、その男が来たら、その男の着物の裾に針を刺してごらん 」と娘に教えた。そして、ある日の深夜、友達と楽しく遊んだ帰り道、その娘が、歌を歌いながら歩いていると、また、その男が現われたので、娘は、婆さんの助言のとおりに、その男の着物の裾に針を刺した。すると不思議なことに、その後、その男が現われることはなくなった。その娘が、婆さんに、「 なんで、突然、来なくなったの? 」と聞いたところ、婆さんが、「 気になるなら、
水分神社
にあるサイカチの木に行ってごらん 」と答えたので、その娘が、水分神社のサイカチの木に行ってみると、木の陰から、何かの唸り声がするのが聞こえた。そこで、娘が、木の陰を覗いてみると、そこには大蛇がいて、あの男の着物の裾に刺したはずの針が、その大蛇の尾に刺さっていた。驚き恐れた娘は、一目散に逃げ帰り、そのことを婆さんに話すと、婆さんは娘に、「 わかったかい。いくら楽しくても、若い娘が深夜まで遊んでいてはいけないんだよ 」と言ったという。
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参考 『 七ヶ宿町史 生活編 』
現地で採集した情報
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