首なし田 |
昔、ある 長者 が、里で一番の田植え上手に、田植えを依頼した。 依頼された女性は、長者の広い田の田植えを、たった独りでしていた。 すると、田の近くに寝かせていた赤ん坊が、目を覚まして泣きだした。 そのため、この母親は、赤ん坊を背負って、田植えを続けた。 しばらくすると、赤ん坊が、突然、泣きやんだ。 母親は、眠ったのだと思い、さらに田植えを続けた。 母親は、赤ん坊を背負っていることを忘れるほど、夢中になって、田植えをしていた。 夕方、田植えが終わったので、お乳を赤ん坊に飲ませようとした。 しかし、母親が、赤ん坊を背中からおろすと、赤ん坊の首がなくなっていた。 母親は、泣きながら、必死に、赤ん坊の首を捜したが、とうとう発見できなかった。 それ以後、この田には、稲が実らなくなったという。 参考『 大島誌 』
独自に、現地で採集した証言
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