万吉ころばし |
昔、 万吉 という男がいた。ある夜、酔っている万吉を見た 狐 は、 悪戯 をしてやろうと思った。そして、 里人 に化けて、万吉を道に迷わせる。万吉は、 明け方 、ふらふらになって家に帰った。 また、ある夜、万吉が 縁日 に行く途中、先日の狐が里人に化けて、また、万吉に悪戯をしようとしていた。 今度は万吉も気づいたが、だまされたふりをして縁日に行った。万吉は、里人に化けた狐を誘って、 ある茶屋へ入り、どんどん酒を注文して、明け方まで酒を飲み続けた。そして、 里人に化けた狐は、そのまま眠ってしまった。 万吉は、茶屋の主人に、「 お 勘定 は、この男が支払うことになっているから 」と言って、店を出た。しばらくして、茶屋の主人が、その男を見ると、大きな 尻尾 をした狐になっていた。茶屋の人々は驚いて、全員で狐を取り囲み、手で、 殴る 殴る殴る。足で、 蹴る 蹴る蹴る。棒で、 叩く 叩く叩く。茶屋は、大騒ぎとなった。 ある日、いつものように、万吉が酔って歩いていると、その狐が現われて、万吉を 沢 から突き落とした。そして、そこにあった岩に頭をぶつけて、死んでしまった。それ以後、その沢を、 “ 万吉ころばし ”と呼ぶようになったという。 参考『 大島誌 』
現地で採集した情報
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“ 万吉ころばし ” 写真館 |