気仙沼の船幽霊 1

   昔、 気仙沼 湾に、「 柄杓 を貸してください。お願いします 」と言いながら近づいてくる船が 出没 したことがあった。ある日、若い乗組員が、「 いいですよ。困ったときは、お互いさまです 」と言って柄杓を貸そうとしたところ、他の乗組員が走ってきて、柄杓の底を抜いて貸した。すると、その船の乗組員は柄杓を借りずに 無言 で離れていった。

   若い乗組員が、「 なぜ、あんな 意地悪 をしたんですか? 」と聞くと、他の乗組員は、「 あれは、 船幽霊 という“ 水死した人間の 亡霊 ”なんだ。底を抜かない柄杓を貸すと、その柄杓で大量の水をかけられて船が沈められてしまう 」と答えたという。

参考『 気仙沼市史 Z 民俗・宗教編 』

現地で採集した情報



“ 気仙沼の船幽霊 1 ” 写真館

これが、柄杓。ウェブサイト「古澤漆器店」の画像を引用させていただきました。

これは、気仙沼で乗ったフェリーからの風景。

平成20年3月14日(金)掲載