源義経と皆鶴姫 2

   昔、 源義経 が、京の都にある 鞍馬寺 で武術の 修行 をしていたとき、この寺の“ 鬼一法眼 ”という者の娘である“ 皆鶴姫 ”が、義経に恋心を寄せた。姫の恋心を知った義経は、ある日、この寺に伝承されている 兵法書 を姫に盗ませたのだが、 薄情 にも、姫を京の都に残したまま、その兵法書を持って 平泉 へと旅に出てしまった。

   その後、鬼一法眼は、姫によって兵法書が盗まれたことを知って 激怒 し、義経の子供を 妊娠 している姫を、 無残 にも、 空舟 に乗せて海に流してしまった。このとき、姫の母は、「 どうか、姫が 無事 でありますように… 」と 祈願 し、そっと、姫の に観音像を入れた。

   その後、姫の乗った空舟は、この里に流れついたのだが、 里人 たちは、「 こんな 高貴 な姫を助けたら、後で何かトラブルに巻き込まれるかもしれない… 」と思い、誰も姫を助けずに、知らん顔をした。そんなとき、ある老夫婦が、「 こんなに疲れ果てて、かわいそうに… 」と言って、自分たちの家で姫を 介抱 した。その数日後、姫は元気な赤ん坊を生んだのだが、産後の 肥立ち が悪く、 次第 に体が弱っていった。

   一方、平泉にいた義経は、ある夜、姫が、たいへん苦しんでいる夢を見た。それを 正夢確信 した義経は、すぐに馬に乗り、この里に向かったのだが、その途中、姫は、この老夫婦に 見守られ ながら、死んでしまった。その後、義経は、姫の 菩提を弔う ために寺を建てて、姫が持っていた観音像を 祀った 。そのため、里人たちは、この寺を、“ 観音寺 ”と呼ぶようになったという。

参考『 気仙沼市史 Z 民俗・宗教編 』

現地で採集した情報



“ 源義経と皆鶴姫 2 ” 写真館

これが、観音寺の 本堂

観音寺では、皆鶴姫が乗せられたという、空舟の一部を所蔵している。上の写真がそれ。
これが、源義経が使ったと伝えられる笈。

平成20年4月11日(金)掲載