笠忘れ山

   昔、ある姉妹の神様がいた。姉は 湯殿山 の神に、妹は 羽田 の神になることが決まっていたのだが、妹は、「 あぁ〜、湯殿山の神になりたかったのになぁ… 」と思い、たいへん残念がっていた。

   ある日、この姉妹の神様が、ある山で 休憩 していたとき、あまりにも天気が良かったので、姉の方が、ついつい、スヤスヤと 居眠り をしてしまった。
   すると、妹の心に、「 姉が居眠りをしている間に湯殿山に行けば、私が、湯殿山の神になれる… 」という、悪い考えが浮かんだ。 そして、妹は、急いで湯殿山に行って、そのまま、湯殿山の神になってしまった。

   このとき、妹は、たいそう 慌てて いたので、その山に を忘れてしまった。そのため、いつしか、 里人 たちは、その山のことを、“ 笠忘れ山 ”と呼ぶようになったという。

参考『 本吉町誌U 』

現地で採集した情報



“ 笠忘れ山 ” 写真館

笠忘れ山は、206号線の歌津と本吉の境界線の近くにある。しかし、上の図のような理由で見えない。
この山の頂上から見える。道らしきものはあったのだが、あまりにも急な坂だったので、今回は 断念 した。
その後、姉は、しかたなく、羽田の神になった。当然のことながら、妹の湯殿山より、姉の羽田の方が 高貴 ということになる。そのため、昔は、先に湯殿山に 参詣 した者が、後で羽田に参詣するのは 御法度 であった。
平成22年9月25日(土)掲載