三条近春と河童

   昔、この里に、“ 三条小太夫近春 ”という武士が住んでいた。 ある日、近春が、自分の馬を川に連れて行き、体を洗ってやっていると、突然、馬が 暴れ だした。

   不審 に思った近春が、馬のまわりを見てみると、 河童 が、馬の 尻尾 に、ぶらさがって遊んでいる。近春は 激怒 して、「 私の馬に、何ということをするんだ! この 無礼 者め! 」と叫んで、持っていた で、河童を激しく 叩いた

   すると、その河童は、「 ごめんなさい…。ごめんなさい…。 水遁 に関する 巻物詫び証文 をあげるから、許してください 」と言って、泣きながら、その二つの物を近春にさしだしたという。

参考『 本吉町誌U 』

現地で採集した情報



“ 三条近春と河童 ” 写真館

上の写真の赤丸は、本吉町誌Uに掲載されている詫び証文( 平たい石 )の写真。その左側にあるのは、マッチ箱。本吉町誌Uには、この詫び証文の所有者が記載されていなかったので、残念ながら、今回は、詫び証文の存在を確認することができなかった。
近春は、たいへん泳ぎが上手だったという。また、この伝承の詫び証文に関して、本吉町誌Uには、「 この証文石は天候の観察に役立つといわれ、また一説には、水にもぐるために使用した石だともいわれており今も伝えられております 」とある。
平成22年10月2日(土)掲載