最上の神様と羽田の神様

   昔、この里にある、“ ホッキ島 ”という島で、ある姉妹が 休憩 していた。その姉妹は、たいそう疲れていたので、 居眠り をしていたのだが、そのとき、姉の方に、「 二人のうちのどちらかの胸に、 蓮華 の花が咲く。咲いた方が最上の神になり、咲かなかった方が羽田の神になる 」という、 お告げ があった。

   姉が妹に、その話をしたところ、妹が、「 もう少し居眠りをしてみれば、どちらに咲くかわかるかもね 」と言ったので、もう一度、居眠りをしてみた。 妹は、心の中で、「 私の胸に花が咲けば良いのになぁ… 」と思っていた。ところが、少し早く 目覚めた ので、姉を見てみると、姉の胸に蓮華の花が咲いていた。

   どうしても、最上の神になりたかった妹は、姉の胸に咲いた花を取って、自分の胸の上に置き、姉を起こした。 すると、姉は、「 あぁ〜、残念…。でも、しかたがないわね 」と言って、しぶしぶ、羽田の神になったという。

参考『 気仙沼市史 Z 民俗・宗教編 』

現地で採集した情報



“ 最上の神様と羽田の神様 ” 写真館

赤丸が、ホッキ島。

これが、ホッキ島。この伝承のためか、この里では、羽田の“ お山がけ ”をした者は、けっして最上には 参詣 しないという。
平成22年10月5日(火)掲載