村上寺の怪

   寛文 年間に 山崎弥五郎 という武士がいた。幼少より剣術が好きで器用なところがあったため、みるみる腕が上達した。 ところが、この山崎弥五郎は根っからの臆病者で、夜道を独りで歩きたがらないほどであった。 そこで、氷室薬師に 百日詣で をし、優れた武士になろうとした。

  満願の日の 丑の刻 、得体の知れない怪物が、 ヒョイヒョイと山崎弥五郎の頭を越したり、横をかすめ飛んだりした。 山崎弥五郎は恐怖を感じたが、勇気をだして刀をとった。 半時 ほど必死に抵抗すると、いつのまにか怪物は消えてしまった。 山崎弥五郎はくたくたに疲れて、その場に横になると、そのまま寝てしまった。

  目を覚ますと、すでに陽が昇っていた。 満願の効があって、山崎弥五郎は、岩出山の城下でも評判の優れた武士になったという。 山崎弥五郎が怪物と格闘した時に切りつけた刀傷が、現在も氷室薬師の本堂内来光柱に残っている。

参考『 岩出山町史 下巻 』



“ 村上寺の怪 ” 写真館

氷室薬師村上寺。

氷室薬師村上寺の本堂内。

本堂内来光柱。山崎弥五郎が切りつけたと伝えられる刀傷。専門家に鑑定してもらった結果、「刀傷には間違いない」とのこと。

氷室薬師村上寺は、眼病に霊験あらたかだといわれています。人々は、紙に自分の年齢の数だけ“目”を書いて本堂内の壁に貼り、病気の治癒を祈願するそうです。

平成17年6月29日(水)掲載