船越の五輪塔 1

   船越 の里に、 五輪塔 がある。ある年の 飢饉 のとき、 餓死 した者、 疫病 で死んだ者などを供養するために建てられたものだという。その飢饉のありさまは、 まるで、地獄のようであったと伝承されている。

   昔、ある若い夫婦と四歳の子供が、飢饉のために食べるものがなく、ある川のほとりで 呆然 としていた。

   その夫婦は、この飢饉では、この子供を養っていくことはできないと思い、 その四歳の子供を川に投げ捨てようとした。しかし、親子の情愛の絆は断ちがたかった。その夫婦は、 子供を抱きしめたまま泣き続ける。

   子供も、そのことを悟り、「 これからは、腹がへったなんて言わないから、川に投げるのだけは許して。 ねぇ、許して 」と泣いた。

   しかし、どう考えても、飢えをしのぐ手段はなかった。その夫婦は、心を鬼にして、 何の罪もない子供を川に投げ捨てて、後ろを振り向かずに、泣きながら逃げていったという。

参考『 鹿島台町史 』

現地で採集した情報



“ 船越の五輪塔 1 ” 写真館

これが、船越の石碑群。

これが、五輪塔。多くの地獄を見てきたことだろう。

平成18年3月17日(金)掲載