朝比奈三郎の怪力 |
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加護坊山に 朝比奈三郎 という男が住んでいた。身長が 約二間 、いつも高下駄をはき、チャンチャンコを着ていた。 ある春の日、三郎が気持ち良く昼寝をしていると、 蕪栗沼 の鴨がガヤガヤ騒いでうるさいので目を覚ましてしまった。 腹を立てて石を投げつけたところ、はずれて、南方町の沼崎前に落ちた。 里人 は、天から降ってきたと思いこみ、この石を石上神社に祀ったという。 ある夏の日、家を飾ろうと思い、太い綱で からげた 大きな石を片手でかついで帰ろうとしたが、スズメバチが三郎にまつわりついた。 腹を立てた三郎は、大きな石をその場に投げつけて、そのまま加護坊山に帰った。 その後、里人が石をかたづけようと思ったが、半分くらい土にめり込んでいたので、 どうしても動かせなかったという。 ある秋の日、気晴らしに弓をひいてみようと思い、ある山に矢を射った。 しかし、土煙があがらない。 立て続けに十一本はなったが、やはり土煙があがらない。 駆け寄って確かめてみると、十二本の矢は、まるで山が矢を食べているように、一ヶ所に束になって命中していた。 そこで三郎は、この山に“矢喰山”という名前をつけたという。 ある冬の日、三郎は「自分には、どれくらいの力があるのだろうか?」と思った。 そこで、大きな木の椀をつくり、団子を十個ほど入れて、西の方に力いっぱい投げてみた。 すると、木の椀は 三里 離れた 通木 に落ち、団子は 百五十間 ばかり西に離れたところに落ちた。 それ以後、三郎はその場所を“お椀こ山”“団子山”と呼んだという。 三郎は、少し気が短く粗暴なところがあったが、 誠実で優しいところもあったので、里人たちには好かれていたという。 参考『 田尻町史 上巻 』
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“ 朝比奈三郎の怪力 ” 写真館 |