星の沼

   昔、この里に、大きな沼があった。その沼の中でも、“ 黒森山 ”という山の にある特に深い を、 里人 たちは、“ 黒森ヶ淵 ”と呼んでいた。

   ある夜、 源義経一行 が、その沼の を通ったとき、空に輝く星が、沼の水面に映っていた。 北の方 は、その美しい風景に心を奪われ、偶然、近くにいた里人に、沼の名前を聞いたところ、その里人は、「 黒森ヶ淵です 」と答えた。

   北の方は、 家来 の片岡十郎に、「“ 黒 ”という言葉で表現するなんて、この沼の美しさには、 相応しく ないですね 」と話した。すると、十郎は、「 本当に、もったいないことです。鎌倉には、“ 星の海 ”と呼ばれている海もあるというのに 」と答えた。

   それを聞いた北の方は、「 それは良い名前ですね。そうだ! この沼も、“ 星の沼 ”と呼んだ方が良いのではないですか 」と言った。 そのため、里人たちは、この沼を、“ 星の沼 ”と呼ぶようになったという。

参考『 鳴子町史 上巻 』

現地で採集した情報



“ 星の沼 ” 写真館

この伝承の星の沼は、現存していない。現在の中山平温泉 一帯 が、星の沼だったという。この一帯は、この伝承の当時から、温泉が 湧いて いた。この沼から立ち上がる温泉の煙を見た義経は、星の沼に 因んで 、この温泉を、“ 星の湯 ”と 命名 した。
平成19年9月2日(日)掲載