朝見ずが宿 |
大崎市/三本木伊賀/高野 |
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昔、この里に、多くの 宿場 があったころ、その中の一つに、 “ 法道丸 ” という 盗賊 が 営んで いる 宿屋 があった。法道丸は、たくさんの 子分 とともに、この宿屋を 根城 にし、旅人たちを殺して 金品 を盗んでいた。 ある日、法道丸たちが、山道に 隠れて 、旅人が通るのを待っていると、腰に 立派 な二本の刀をさしている若い武士が通った。法道丸は、 「 あの刀なら、一本で金二百 両 はするぞ ! 」 と言って二ヤリと笑い、 「 もうすぐ夜になるから、どこかの宿屋に 宿泊 するだろう。その宿屋を 襲撃 して、あの刀を盗むぞ ! 」 と叫んで、その武士を 尾行 した。すると、 事も有ろうに 、その武士は、法道丸が営んでいる宿屋に入っていった。 法道丸は、すぐに、 女中 に、 「 おい ! 今、若い武士が来ただろう。どの 座敷 に通した ? 」 と 尋ねた 。すると、その女中は、 「 あのような立派な方は、どんなことがあっても、お守りしなければならない 」 と思い、 「 そのような御客様は、いらしておりません 」 と答えた。 法道丸は、 「 おれは、あの武士が、この宿屋に入るのを見たんだ ! 隠すのであれば、おまえを殺すぞ ! 」 と言って、女中を 威嚇 した。 この会話を聞いていた、その若い武士は、 毅然 とした態度で法道丸の前に現われ、 「 欲しいなら持っていけ 」 と言って、すべての持ち物を法道丸に渡した。法道丸は、 「 よ 〜 し、良い子だ 」 と叫びながら、 満足 そうに 奪った ものを 眺めて いたのだが、その持ち物のすべてに 村上源氏 の 定紋 である、 “ 笹竜胆 ” が 刻まれて いることに気づくと、突然、ガタガタと 震え だした。そして、法道丸は、顔面が 蒼白 のまま、そっと部屋を出ていった。 その夜、法道丸は、その若い武士の部屋を訪れ、 「 法道丸と申します 」 と 名乗って から、部屋に入った。そして、 「 源義経 様でしょうか ? 御無礼 いたしました。私は、義経様が平家 打倒 の 旗揚げ をする日を夢みて、悪いこととは知りながら、 軍資金 を集めるために、盗賊をしておりました 」 と 告白 した。このとき、義経は、 弁慶 と離れ離れになっていたのだが、法道丸の 取り計らいで 、この宿屋で再会。平家打倒の準備をして、 鎌倉 に旅立っていった。 その後も、法道丸は、義経のために、この宿屋を根城にして軍資金を集め続けた。夜、この宿屋に宿泊した客は、いつも、次の日の朝になると姿が消えていたので、いつしか、 里人 たちは、この恐ろしい宿屋のことを、 “ 朝見ずが宿 ” と呼ぶようになったという。
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“ 朝見ずが宿 ” 写真館 |
![]() ![]() 平成24年1月28日(土)掲載
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