伝承

逆さ桜
大崎市/三本木新沼/二又

   昔、長く目を 患い盲目 同然 となっていた者が、桜の木の をつきながら、この里に来たことがあった。その者は、その杖を 行屋 に突き 刺して から行屋に 参籠 し、三千七百二十一日の間、目の病気が 治癒 するように 祈願 した。すると不思議なことに、その 満願 の日、盲目同然だった目が見えるようになり、その者は、たいそう喜んだ。

   その者は、目が見えるようになって、杖をつく必要がなくなったので、突き刺しておいた杖を、そのままにして、この里を去っていった。ところが、その後、その杖から が出てきて、さらに枝が伸び、ついには、桜の花が 咲き誇った 。このため、いつしか、 里人 たちは、桜の木の元が逆さである、この桜のことを、 “ 逆さ桜 ” と呼ぶようになったという。

参考 『 三本木町誌 下巻 』
現地で採集した情報


“ 逆さ桜 ” 写真館

三本木町誌 下巻には、 「 新沼二叉の瀬戸家の所有地内に薬師如来を祀つている祠がある。この薬師如来の霊験があらたかであるということが近所近在に知られていた 」 とあるのだが、三本木町誌 下巻に 掲載 されている本文には、一度も 薬師如来 が登場していない。恐らく、行屋に参籠して、この薬師如来に祈願したのであろう。


これが、薬師如来を 祀って いる



今でも、目の不自由な方が祈願に 訪れて いる。



自分の歳の数だけ “ め ” を書いて、薬師如来に祈願している。 “ め ” を書いたり、 “ 目 ” を書いたり、絵で目を 描いた ものなど、祈願の方法は 様様 である。


これが、 御神体



昔、この祠は、別の場所にあったのだが、東北自動車道の建設のために、この場所に移された。左の赤丸が、祠。右の赤丸が、東北自動車道。


現在、瀬戸家の 敷地 内には、三本の桜の木があり、春になると 綺麗 な花を咲かせるという。瀬戸家の方に、逆さ桜に関して聞いてみたのだが、 「 二年前に、瀬戸家の歴史に 詳しい 祖父が死んでしまいましたので … 」 とのことであった。逆さ桜が、本当に咲いていたとすると、昔、薬師如来の祠があった場所の近くだったと思われる。東北自動車道が建設された時、 伐採 された可能性もあるし、瀬戸家の敷地内に移された可能性もある。最後の証人が死んでしまったので、答えは、永遠に不明のままである。


平成24年2月29日(水)掲載