伝承

底なしの沼
大崎市/三本木新沼/坪呂

   昔、この里の上宿に、ある沼があった。また、この里の下沖にも、 “ 北沼 ” と呼ばれる沼があった。この二つの沼の 距離 は、約三キロほどであったのだが、ある年、上宿の沼で、 婦女子 が洗いものをしていたとき、 誤って 小さな を流してしまい、その樽が、沼の底に 吸い込まれる ように 沈んで いった。

   このとき、 里人 たちは、樽が 神隠し されたと 騒いで必死 になって樽を探した。すると、不思議なことに、約三キロも離れた下沖の北沼の中央に樽が浮かんでいるのを 発見 した。数日後、今度は、下沖の北沼で樽が沼の底に吸い込まれ、その樽が、上宿の沼の中央に浮かんでいたので、さらに、里人たちを驚かせた。そのため、いつしか、里人たちは、この二つの沼のことを、 “ 底なしの沼 ” と呼ぶようになったという。

参考 『 三本木町誌 下巻 』
現地で採集した情報


“ 底なしの沼 ” 写真館

上宿の沼は、 細川泉 さんの所有地の中にあった。上の写真が、この伝承の沼。ちなみに、現在、この沼は、国有地になっている。


三本木町誌 下巻には、 「 その後細川氏の御先祖が 御水神 弁才天 を沼のほとりに お祀り 申上げて災害のないようにと、当家は 勿論 近所の人々は常に 御祈願 を続けて居つたと語つている 」 とあるが、現在、この水神弁才天はない。


残念ながら、下沖の北沼は現存していない。三本木町誌 下巻には、 「 また下沖の伊藤勘治郎さんの屋敷になつている所が、昔大きい沼であつたので北沼と呼んでいた 」 とある。


平成24年5月20日(日)掲載