割石 1

   昔、 七北田川頻繁氾濫 し、この里は大きな被害を受けていた。そこで、堤防を築くことになったのだが、より強い堤防を築くために、 人柱 をたてることになった。

   ある日、 里人 たちは、偶然、この里を通りかかった女性を人柱にして、堤防を完成させた。そのため、川の氾濫はなくなった。 ところが、今度は、人柱にされた女性の幽霊が現われるようになる。 夜になると、毎日、この幽霊の泣く声が里に響いた。里人たちは驚き恐れて、この堤防に近づかなくなった。

   ある武士が、この噂を聞いて、里人たちのために、この幽霊を退治しようと決心した。 その夜、武士が堤防で待ち受けていると、噂どおり、幽霊が現われて、しくしく泣いていた。 その武士が、刀で斬りつけると、幽霊は音もなく消えてしまった。

   翌朝、幽霊を斬った場所に行ってみると、大きな石が二つに割れていた。そのため、里人たちは、その石を、“ 割石 ”と呼んだ。そして、人柱となった女性を、 ねんごろ弔った ところ、幽霊の泣き声はしなくなったという。

参考『 多賀城市史 第3巻 民俗・文学 』

現地で採集した情報



“ 割石 1 ” 写真館

割石は、七北田川の土手の公園にある。場所は、赤丸の杉の下。
赤丸が、割石。昔、このあたりには、多くの杉の木があった。しかし、ほとんどが伐採されてしまった。 古老 の話によると、この杉は、割石の場所をしめす目印として残したのだという。
これが、割石。見事に割れている。

これは、割れている部分。「 一念弥陀仏 」と彫られている。おそらく、「 一念弥陀仏即滅無量罪 」のことであろう。この言葉の意味は、 「 仏の救済を信じて“ 弥陀仏 ”と唱えれば、どんな罪でも、すぐに許される 」というもの。 里人たちは、人柱となった女性に心から謝罪し、その罪の許しを願ったのであろう。
平成18年5月15日(月)掲載